【Prodotti Tipici/特産物】
Carciofo romanesco del Lazio IGP
ローマ産アーティチョーク
ラツィオ州の大部分で生産される。色は緑色と紫色のグラデーション。味は甘くデリケート。ローマ料理に欠かせない。2-5月が旬。
別名、マンマMamma、マンモラ Mammola、チマローロCimarolo。
Guanciale amatriciano
アマトリーチェ産グアンチャーレ
豚の頬肉を4-5日間塩漬けにしたのち、コショウと唐辛子をたっぷりまぶして、オーク(カシ)の木Querciaで1ヶ月間燻製にし、さらに60日間熟成させる。
リエーティ県アマトリーチェを中心に、ラツィオ州とアブルッツォ州で生産。
【Cibi di Strada/ストリートフード】
Porchetta di Ariccia IGP
アリッチャ産ポルケッタ
フェンネルなどのハーブやスパイスで味付けする豚の丸焼き・ポルケッタは、発祥のウンブリア州と並びラツィオ州でも名物で、メス豚でつくるローマ近郊アリッチャ産は特に秀逸。
パニーノ屋台の定番の具材。
Supplì
スップリー
ローマ風ライスコロッケ。
炊いた米をラグー、卵、バター、おろしたパルミジャーノで味付けし、中にモッツァレッラを入れて団子状にし、パン粉をまぶしてオリーブオイルで揚げる。
別名「電話機風スップリーSupplì al telefono」。アツアツのモッツァレッラが糸を引く様が、かつての電話機の伸びるコードに似ていることから。
【Antipasti/前菜】
Fave e pecorino
ソラマメとペコリーノ
春の風物詩。さやをむいた生のソラマメと、ローマ産ペコリーノをシンプルに合わせる。
パスクエッタのピクニックの定番でもある。
Fiori di zucca ripieni fritti
花ズッキーニの詰め物のフライ
ズッキーニの花にモッツァレッラとアンチョビを詰め、小麦粉、ビール酵母、水、酢、砂糖、塩、オリーブオイルを合わせた衣をまぶして揚げる。
起源はユダヤ人(ヘブライ人)のレシピだが、ラツィオ料理の伝統的な前菜のひとつとして数えられる。
Pandorato
パンドラート
“耳”を取り除いたサンドイッチ用のパンに、生ハムとモッツァレッラを挟んで半分に折り、牛乳、溶き卵、小麦粉につけて揚げたもの。ローマ名物。
【Primi Piatti/第一皿】
Bucatini all’amatriciana
ブカティーニ・アマトリチャーナ
アマトリーチェ発祥。中心に穴の開いたロングパスタ・ブカティーニを、サイコロ状に切ったグアンチャーレまたはパンチェッタ、タマネギ、トマト、おろしたペコリーノ・チーズ、黒コショウ、唐辛子のソースで和える。
ローマ方言で「マトリチャーナ」ともいう。
Bucatini alla gricia
グリーチャ風ブカティーニ
トマト抜きの「アマトリチャーナ・ビアンカ」とも呼ばれるが、むしろこちらが原型。
スパゲッティやリガトーニと合わせることも多い。
Fettuccine Alfredo
フェットゥッチーネ・アルフレード
フェットゥッチーネは、エミリア地方のタリャテッレに似た、卵入りの平たい手打ちロングパスタで、特にラツィオ州を中心にイタリア中南部に普及。
バターとパルミジャーノチーズでつくるアルフレード・ソースは、イタリアよりもむしろアメリカで人気があり、その発祥は20世紀前半にアルフレード・ディ・レーリオ氏がローマに構えていたリストランテ。
Fettuccine alla ciociara
チョチャリーア風フェットゥッチーネ
州南部チョチャリーア地方の名物。鶏の内臓、グアンチャーレまたは生ハム、グリーンピース、キノコのソースで和える。トマト風味やチーズ風味などレシピはいくつかある。
Gnocchi alla romana
ローマ風ニョッキ
セモリーナ粉を牛乳、塩、バター、おろしたパルミジャーノと練って小さな円形に整え、溶かしたバター、パルミジャーノと交互に並べてオーブンで仕上げる。
Penne all’arrabbiata
ペンネ・アラビアータ
ペン先型のショートパスタ・ペンネを、トマト、ニンニク、タマネギ、唐辛子のソースで和える。
ペンネはカンパーニア州発祥のパスタだが、料理はラツィオ州の名物とするのが通説。
イタリア語発音では、ペンネ・アッラッラッビアータ。
Rigatoni con la pajata
パイアータ風リガトーニ
茹で上げたリガトーニに、おろしたペコリーノを混ぜ合わせ、パイアータ(ローマ方言で、仔牛の小腸)、トマト、白ワイン、ナツメグ、クローヴ、塩コショウでつくるソースと和える。
Spaghetti alla carbonara
スパゲッティ・カルボナーラ
スパゲッティを、グアンチャーレまたはパンチェッタ、卵、おろしたペコリーノ、たっぷりの黒コショウのソースで和える。
ショートパスタのリガトーニを使うレシピもポピュラー。
戦後にローマで生まれた料理。
Spaghetti alla checca
ケッカ風スパゲッティ
ケッカとは、細かく切ったフレッシュトマトを、塩、コショウ、バジリコと和えた冷製ソース。少し置いて水気を切っておき、エクストラヴァージン・オリーブオイルとともに、茹で上げた熱々のパスタにサッと合わせる。
パセリ、フェンネルの葉、オリーブ、モッツァレッラなどを加えることもある。
暑さが厳しい夏のローマ料理。
Tonnarelli cacio e pepe
トンナレッリ・カーチョ・エ・ペペ
トンナレッリとは、断面が四角く太めな手打ちロングパスタ。ラツィオ名物。アブルッツォ風マッケローニMaccheroni alla chitarraに酷似。
スパゲッティやヴェルミチェッリなど他のパスタに代用されることも多い。
茹で上げたパスタをフライパンに移し、オリーブオイル、ニンニク、黒コショウ、茹で汁で乳化させて火を止め、おろしたローマ産ペコリーノを力強く混ぜ合わせ、黒コショウをたっぷりまぶして盛りつける。ローマ名物。
【Secondi Piatti/第二皿】
Abbacchio alla romana
ローマ風アッバッキオ
猟師風アッバッキオAbbacchio alla cacciatoraとも。
細かく切ったアッバッキオ(草を食べる前の乳飲み仔羊)をオリーブオイルと白ワインで焼き、ローズマリー、ニンニク、唐辛子、アンチョビ、酢でつくったソースを最後に合わせて仕上げる。
Abbacchio a scottadito
アッバッキオのスコッタディート
スコッタディートとは、ローマ方言で仔羊の骨付きリブロース(あばら肉)のこと。ラツィオ州ではアッバッキオをグリルにする。
現在では広義として、あらゆる肉の網焼きを熱いうちに食べる料理を指す。
Baccalà in guazzetto
干鱈のシチュー
ローマ風干鱈Baccalà alla romanaとも。
小麦粉をまぶして揚げた塩漬け干鱈(ひだら)をフライパンに移し、松の実とレーズン入りのトマトソースで煮る。ソースにアンチョビを加えることもある。
Coda alla vaccinara
コーダ・アッラ・ヴァッチナーラ
「畜殺人風オックステールの煮込み」
牛のテールと頬肉を、様々な香草、レーズン、松の実、ビターチョコレート、トマトのソースで煮込む。仕上げにセロリをたっぷり加えてさらに煮込む。
かつて畜殺場ちかくのトラットリアで貧しい労働者のために出されていた、クイント・クアルト料理の代表格。
クイント・クアルトとは「5番目の1/4」という意味。牛一頭の前後左右4/4以外の部位、つまり内臓、頭、鼻、頬、脳、尾、蹄など元々捨てられていた部位のこと。
Coratella con i carciofi
コラテッラとアーティチョークの煮込み
コラテッラ(羊の内臓)を細かく切り、オリーブオイル、ブロード、白ワインと煮込んで、かために茹でたローマ産アーティチョークを加えて仕上げる。
Cotiche con fagioli
豚の皮とインゲン豆の煮込み
豚の皮を帯状に切って香味野菜と炒め、トマトとブロードで煮込み、別に茹でたインゲン豆を加える。
ラツィオ州の他、エミリア=ロマーニャ州、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州、ピエモンテ州でもよくつくられる大衆料理。
Fritto misto alla romana
ローマ風フライの盛り合わせ
ローマ風を特徴づけるのは、ローマ産アーティチョークと内臓Frattaglie(仔羊か仔牛の脳、牛の脊髄、すい臓、レバー)。
Garofolato
ガロフォラート
牛の尻肉の煮込み。内側の尻肉Girelloに豚の脂身、ニンニク、マジョラム、塩、コショウを差し込み、トマト、ワイン、ナツメグ、たっぷりのクローヴChiodo di garofano(名前の由来)とともに3時間煮込む。
パスタソースとしても利用される。
Lumache alla romana
ローマ風エスカルゴ
塩とミントで茹でたエスカルゴを殻から取り出し、トマト、アンチョビ、ニンニク、タマネギ、唐辛子、ミントでつくるソースで調理する。
6月24日のサン・ジョヴァンニの祝日の伝統料理。Ciumacataともいう。
Pollo alla romana con i peperoni
鶏肉とペペローニのローマ風
小間切れの鶏肉をオリーブオイル、ニンニク、タマネギ、白ワインと一緒に炒め、トマトとペペローニを加えて煮込む。ローマの庶民料理。
Saltimbocca alla romana
サルティンボッカ
仔牛の薄切りにハムとサルヴィアをのせて爪楊枝で固定し、バターと白ワインで焼く。
名前の由来は「口に飛び込む(ほど美味しい)Saltare in bocca」。
Stufatino
ストゥファティーノ
ローマ風シチュー。伝統的なローマの家庭料理。
牛肉(定番はすね肉)を一口大に切り、香味野菜、マジョラム、白ワインと炒め、トマトと水またはブロードを加えて2時間以上煮込む。
Trippa alla romana
ローマ風トリッパ
トリッパ(牛の第二胃袋・ハチノス)をトマトとミントで煮込み、ペコリーノをたっぷりかけて盛り付ける。
Trippa alla trasteverina
トラステヴェレ風トリッパ
ローマ風よりも古いレシピで、ミントとペコリーノを使わず、ガロフォラートのソースで仕上げる。
【Contorni/付け合わせ】
Carciofi alla giudia
ユダヤ風アーティチョーク
ローマ産アーティチョークの葉の固い部分と茎の大部分を削ぎ落し、花が咲くように形を整えて、塩コショウをして、たっぷりのオリーブオイルで焼き揚げる。
ローマのユダヤ人街(ゲットー)で生まれたレシピだが、今ではローマ料理のシンボル。
前菜として出すリストランテも多く、量によっては第二皿とすることもある。
Carciofi alla romana
ローマ風アーティチョーク
ニンニク、パセリ、オリーブオイルと混ぜ合わせたパン粉をローマ産アーティチョークに詰め、茎部分を立てて鍋に並べ、アーティチョークが浸る程度にオリーブオイルと水を加えて煮詰める。
Cicoria pazza
チコーリア・パッツァ
茹でたチコリをフライパンに移し、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子で炒めたもの。
ローマ以外のイタリア中南部広域でも、Cicoria (ripassata) in padella, Cicoria strascinataなどの名前でポピュラー。
Fave al guanciale
ソラマメのグアンチャーレ風
茹でたソラマメを、刻んだタマネギ、塩、コショウ、帯状に切ったグアンチャーレ、白ワインと炒めたもの。
Insalata di puntarelle alla romana
ローマ風プンタレッレのサラダ
プンタレッレはチコリの一種で、代表的なローマの冬野菜。文字通り先が「尖った」茎は中空で、シャキシャキの食感とほろ苦さが特徴。
アンチョビー、ニンニク、エクストラヴァージン・オリーブオイル、塩、酢を合わせたドレッシングで調味。
Misticanza
ミスティカンツァ
種々の野草を意味するイタリア中部の言葉だが、ラツィオ州ではミックスサラダを指す。
季節や土地ごとに扱う野草は様々(本来は春の野草をつかうのが伝統)。
Cicoria selvatica, Costole d’asino (Costolina), Grespigno, Caccialepre (Grattalingua), Pisciacane (Tarassaco), Pastinaca (Carota selvatica), Pimpinella, Raponzolo (Raperonzolo), Cipiccia (Radicchiella), Dolcetta (Valerianella), Papala (Rosolaccio), Orecchio d’asino (Piantaggine)など。
現在では(特に季節外れの時期など)、畑の収穫野菜に代用されつつある。主にプンタレッレ、リッチョレッタ、チコリ、インディヴィア、ルーコラなど。
エクストラヴァージン・オリーブオイル、塩、コショウ、酢で調味。
【Formaggi/チーズ】
Pecorino romano DOP
ローマ産ペコリーノ
羊の乳からつくる硬質チーズ。5-8ヶ月熟成。
塩気が強いのでローマ料理の味付けに欠かせないが、そのまま食べるのが基本。旬の生のソラマメとの組み合わせは、春の風物詩として楽しまれる。
Ricotta romana DOP
ローマ産リコッタ
羊の乳からつくるフレッシュチーズ。甘みがある。11-6月に生産。
リコッタはイタリア全土でつくられるが、ローマ産は古代以来の伝統を誇る。
【Dolci/ドルチェ】
Crostata di ricotta
リコッタのクロスタータ
ローマ産リコッタ、レーズン、削り下ろしたオレンジとレモンの皮、シナモン、松の実、シトロンとオレンジの砂糖漬けを中身に詰めてオーブンで焼いた、円形のタルト。
Grattachecca
グラッタケッカ
氷を粗く削ったグラニータ。シロップの定番は、アマレーナやタマリンドなど。
日差しの強い夏のローマで、街頭に多くあるキオスクや屋台の名物。
Maritozzo
マリトッツォ
レーズン、松の実、砂糖漬けのオレンジピールが入った、やわらかく甘いパン。中にホイップクリームを挟む。
古代ローマ時代からの歴史を誇る、ローマ菓子のシンボル。