ロンバルディア州の料理

【Antipasti/前菜】

Bev’r in vin
ベヴリン・ヴィン
マントヴァ名物。小さなカップにアニョーリを浮かべたブイヨン(Sorbir d’agnoli)に、赤ワインを適量注いだもの。
霧の濃い冬のマントヴァ。暖炉でつくったスープに赤ワインを加えて、冷えた身体を温めるとともに食欲を刺激する食前の一杯であったという。伝統的な農家の料理。
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Bresaola della Valtellina IGP
ヴァルテッリーナ産ブレザーオラ
牛肉を塩漬けして乾燥させた生ハム。3ヶ月熟成。薄くスライスして、オリーブオイル、レモン汁、コショウでカルパッチョにして食べられる。15世紀にはすでに文献に登場。
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Nervetti
ネルヴェッティ
仔牛の足の軟骨のサラダ。香味野菜とともに茹でた軟骨を細かく刻み、冷ましてゼリー状に凝固させ、オリーブオイル、白ワインビネガー、スライスオニオン、塩、コショウ、ニンニク、パセリなどで和える。(※軟骨や腱を構成するコラーゲンは熱湯に溶けてゼラチンとなり、冷却すれば凝固する)
ロンバルディア州とピエモンテ州の広域にレシピがあり、地域の方言によってNervettまたはNervittといわれる。

Sciatt
シャットゥ
ヴァルテッリーナ名物・そば粉のフリッテッラ。地元のカゼーラ・チーズ(Casera)を、そば粉と小麦粉を練って少量のグラッパを混ぜた衣で、スプーン一杯分揚げたもの。
フライパンで平たく焼いたものをキシュ(Chisciöl)という。
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【Primi Piatti/第一皿】

Agnoli
アニョーリ
茹でてミンチにした去勢おんどり(Cappone)、チーズ、卵、シナモン、クローヴなどを詰めたマントヴァ産パスタ。このおんどりのブイヨンに浮かべて食べられる。
1600年代後半、マントヴァの領主・ゴンザーガ家の料理人が考案したとされる。

Casonsei
カソンセイ
カゾンチェッリともいう。サルシッチャ、ジャガイモ、ホウレンソウ、卵、チーズ、パン粉などを詰めた、ベルガモ、ブレーシャの伝統的なパスタ。地域によってさらにアマレット、干しブドウ、洋ナシ、レモンピールなどが加わる。バターとサルヴィアのソース(パンチェッタを加えるレシピもある)。

Pizzoccheri
ピッツォッケリ
ヴァルテッリーナ料理のシンボル、そば粉のショート・タリャテッレ。ジャガイモ、チリメンキャベツと一緒に茹で、バター、ニンニク(またはタマネギ)、サルヴィア、チーズで和える。
塩、黒コショウ、ニンニク、ハーブ類を合わせた地元の調味料・ペステーダPestedaをふりかけるのもいい。
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Minestrone alla milanese
ミラノ風ミネストローネ
多くの種類の野菜をふんだんに使い、米、パンチェッタを加えたスープ。温製でも冷製でも、どちらも美味しい。

Risotto alla campagnola
田舎風リゾット
ローディ名物。サルシッチャ、豚の皮、トマト、インゲンマメのリゾット。

Risotto alla certosina
チェルトーザ風リゾット
パヴィア修道院(Certosa di Pavia)で生まれた料理。ザリガニ、カエル、その他の淡水魚、キノコ、グリーンピース、トマト、白ワイン、各種香草で仕上げたリゾット。

Risotto alla milanese
ミラノ風リゾット
サフラン風味のリゾット。ビーフブイヨン、バターで煮詰め、チーズで仕上げる濃厚でクリーミーな味。
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Risotto alla pilota
脱穀農夫風リゾット
マントヴァ産サルシッチャ(Salamelle mantovane)、グラーナ・パダーノ・チーズ、バターで仕上げる。マントヴァからヴェローナにわたる稲作地帯の料理で、米を脱穀する農夫(脱穀機の”操縦士pilota”)たちがつくっていたという。
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Tortelli di zucca
カボチャのトルテッリ
特産のカボチャを多用するマントヴァの代表料理。裏ごししたカボチャ、マスタード入りシロップに漬けたリンゴ、アマレット、グラーナ・パダーノ・チーズなどを詰めたトルテッリ(半円形の詰め物パスタ)を、バターとチーズで和える。
マントヴァを中心とする一帯では、伝統的にはクリスマス・イヴにつくられる。
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Zuppa alla pavese
パヴィア風スープ
トーストしたスライスパンの上に卵を落とし、パルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりかけ、その上から熱々のビーフブイヨンを注いで仕上げる。
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【Secondi Piatti/第二皿】

Cassoeûla
カッソーラ
豚肉とチリメンキャベツの煮込み。寒さの厳しい冬のミラノの名物料理。
豚の耳、皮、つま先、サラミ、リブロース(肋骨近くの背肉)、ルガーネガ・サルシッチャ、チリメンキャベツ、香味野菜を、バターと白ワイン、ブイヨンで煮込む。
フランス語発音由来のミラノ方言なので、oeuはオとエの中間音の[ウ]と発音。「カッセゥーラ」に近い発音で、「カッスーラ」とも表記できる。他州のイタリア人にとっても発音は難しく、「カッソエゥラ」とローマ字読みされることも多い。

Cotoletta alla milanese
ミラノ風カツレツ
厚さ約1.5cmの仔牛の骨付きロース(背肉)をバターで揚げたカツレツ。ミラノ料理のシンボル。
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Messicani
仔牛しり肉のロール焼き
薄切りにした仔牛のしり肉で、サルシッチャ、グラーナ・パダーノ、卵、各種香草を巻き込んで楊枝で止め、バター、セージ、マルサラ酒で火を通す。ミラノ料理。

Mondeghili
モンデギーリ
肉団子のフリット。茹で肉のミストBollito mistoの残りで作られたミラノの古い料理。
牛肉の茹で肉やサルシッチャなどを包丁で細かく刻み、卵、グラーナ・パダーノ、牛乳に浸したパンくず、各種香草を混ぜて団子状にして、揚げる。柔らかくふんわりした食感が特徴。

Ossobuco alla milanese
ミラノ風オッソブーコ
仔牛すね肉の輪切りに小麦粉をまぶして、みじん切りにした玉ねぎとバターで炒め、白ワイン、ビーフブイヨンで煮込んだ料理。すりおろしたレモンの皮、イタリアンパセリが香る。ゼラチン質の骨髄が美味。一般的にミラノ風リゾットが添えられる。
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Polenta e osei
ポレンタ・エ・オゼイ
ベルガモ、ブレーシャの料理。ポレンタの上にローストした小鳥(ツグミ、ムクドリ、スズメ、ヒバリなど)を添えたもの。


【Formaggi/チーズ】

Bitto DOP
ビット
主原料は牛乳だが、10%までヤギの乳を使うことがある。ソンドリオ県、ベルガモ県産。

Crescenza
クレシェンツァ
ポー川流域パダーノ平野全域で生産される、フレッシュチーズ。5-6日間熟成。甘くデリケートな味わい。

Gorgonzola DOP
ゴルゴンゾーラ
ミラノ近郊・ゴルゴンゾーラ村発祥の青カビチーズ。

Grana padano DOP
グラーナ・パダーノ
他州にもまたがるポー川全流域が生産地域。地域によって1-3年熟成。料理や卓上でおろして使う硬質チーズ。

Mascarpone
マスカルポーネ
ドルチェやソースに使われるクリームチーズ。州全域で生産。

Stracchino
ストラッキーノ
クリーミーなフレッシュチーズ。州の多くの地域で生産。

Taleggio DOP
タレッジョ
バター風味の甘いチーズ。ロンバルディア州全域の他、ヴェネト州トレヴィーゾ、ピエモンテ州ノヴァーラでも生産。


【Dolci/ドルチェ】

Panettone
パネットーネ
イタリアのクリスマスの代名詞的パンケーキ。工場で大量生産されたものはイタリア全国に流通するが、発祥地のミラノではそれぞれの名店が手づくりの美味しさを競い合う。
原料は小麦粉、イースト菌、バター、砂糖、卵、ドライフルーツ。

Polenta e osei
ポレンタ・エ・オゼイ
同名の肉料理を模したベルガモのケーキ。チョコレートソースを挟んだ丸型のスポンジケーキを、ポレンタと同じ黄色のマジパンで包み、その上にアプリコットジャムを敷いて小鳥の形をしたチョコレートを飾る。

Torta paradiso
天国のタルト
パヴィア名物の、やわらかいスポンジケーキ。
1878年に菓子職人のエンリコ・ヴィゴーニによって考案された。

Torta sbrisolona
トルタ・ズブリゾローナ
マントヴァ銘菓。小麦粉、トウモロコシの粉、砂糖、卵黄、アーモンドの生地をオーブンで堅く焼いたもの。ザバイオーネやマスカルポーネ・クリームを添えて、甘口白ワインとともに楽しむのが習わし。
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