プーリャ州の料理

【Prodotti Tipici/特産品】

Funghi cardoncelli
カルドンチェッリ茸
特にプーリャ州を中心とする南イタリアで生産。野菜のカルドンの近くで育つことが名前の由来。トマトと炒めたり、スープやグリル、オーブン焼きで食される。
プーリャ州ではアーティチョークの若芽も同名で呼ぶが、混同しないこと。
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Pane di Altamura DOP
アルタムーラ産パン
イタリアで唯一DOP認定されたパン。
硬質小麦を原料に2段階の長時間発酵を経て、伝統的な薪釜で焼く。
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Taralli
タラッリ
プーリャ州とカンパーニア州を中心とするイタリア南部の伝統的な乾パン。
オーブンで焼く前の発酵やボイルの有無などレシピは多様で、風味づける材料や大きさも地域によって様々。サレント地方ではフェンネルシードかコショウをつかう。
シチリア州、アブルッツォ州、プーリャ州では菓子として甘いタラッリもつくられる。
日本語ではタラーリとも表記されるが正確ではない。
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【Cibi di Strada/ストリートフード】

Bombetta
ボンベッタ
ペコリーノ、パセリ、塩、コショウを練った具を、カポコッロで巻いて炭火で串焼きにしたもの。プーリャ独特の伝統肉屋”フォルネッロ”の名物料理。
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Cappello da gendarme
カッペッロ
パイ生地に、ナス、ズッキーニ、ゆで卵、モッツァレッラ、プロシュット、豚肉、七面鳥の胸肉、チーズなどを詰めてオーブンで焼いたもの。
料理名は「(近代の)憲兵の帽子」という意味で、ナポレオンが被っていたような三角帽にそのカタチが似ていることが由来。

Focaccia pugliese
プーリャ風フォカッチャ
原材料は潰したジャガイモ、小麦粉、塩、ビール酵母、オリーブオイル。小さく切ったトマトとオリーブをのせてオーブンで焼く。Focaccia di patateとも。
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Gnummarieddhi
ニュンマリェッディ
羊またはヤギの内臓を細かく切り、塩、コショウ、パセリ、ペコリーノ、ラルドとともに網脂(腹膜のひだ)で包み、腸を巻きつけて、炭火で串焼きにしたもの。フォルネッロの名物料理。
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Panzerotto pugliese
プーリャ風パンツェロット
パンツェロットは南イタリア全域でポピュラーな、揚げたカルツォーネの一種。様々な具材を半月型に包んで揚げる。
プーリャ風は、熱々のオリーブオイルかラードでフライパンで焼き揚げる。
カーニバルの季節には、ジャムやリコッタ、栗のコンポート(シロップ煮)、ジャンドゥイアなどを包んだ甘いレシピも伝統的。
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Polpo arricciato
生タコのアッリッチャート
バーリ県沿岸の名物漁師料理。
くたくたに軟らかくなるまでタコを岩盤に叩きつけ、さらに伸びるまで板で叩き潰す。海水で満たした桶に移し、タコの足がカール(アッリッチャート)するまで激しく揺らし続ける。
レモンだけ絞ってかぶりつく。オリーブオイルやコショウをかけてもいいが、タコは海水を含むので塩は絶対に振らないこと。
Polpessa種の若く小さなタコを使うため、岩礁の餌を求めて浅瀬に集まる秋が旬。春に交尾のために浅瀬に戻るタコは大きすぎて不向き。旬ではない時期は輸入物の鮮度の落ちるタコをつかうことがあるので注意。
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Rustico leccese
レッチェ風ルースティコ
直径10-13cmの円形の折パイ生地の中に、ベシャメル、モッツァレッラ、トマトを詰めてオーブンで焼いたもの。サレント地方のバールや屋台の定番。
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Scapece gallipolino
ガッリーポリ産スカペーチェ
酢を浸したサフランとパンくずの中で、Pupiddhriという小魚のフライをマリネしたもの。カレッテと呼ばれる桶の中で材料を交互に積み重ねる。レッチェ県。
スカペーチェとは長期保存目的の調理法で、魚や野菜を揚げて酢とハーブでマリネしたもの。イタリア北西部のカルピオーネやヴェネト州のサオールに似ている。


【Antipasti/前菜】

Capocollo di Martina Franca
マルティーナ・フランカ産カポコッロ
豚のロース(腰肉)を15-20日間塩漬けにして、ヴィーノ・コット(ブドウのしぼり汁を煮て糖度を高めた甘口赤ワイン)とスパイスに漬け直し、豚の腸に詰める。10日間寝かせた後、オークの木で燻製にする。90日以内熟成。ターラント県。
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Cozze ‘Arracanate’
ムール貝のアッラカナーテ
ムール貝をオリーブオイル、トマト、白ワインとともにオーブン焼きし、オレガノ、ニンニク、パセリで風味づける。

Fresa
フレーザ
固く焼いたパン(一度オーブンから出して水平に切る)をわずかな水分でふやかし、小さく切ったフレッシュトマト、オリーブオイル、塩、オレガノをふる。
南イタリアの多くの州でつくられ、Frisa, Frisella, Friseddaなどとも呼ばれる。
レッチェ風フリーザFrisa lecceseは、これにルーコラとオリーブを加える。
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Lampascioni sott’olio
ランパッショーニのオイル漬け
ランパッショーニ(小タマネギの一種)の代表的な生産地、プーリャ州、バジリカータ州、カラーブリア州の郷土料理。
2日間水に浸しておいたランパッショーニを水と酢で茹でて、1日乾燥させてから、保存用のガラス瓶に移してエクストラヴァージン・オリーブオイルで満たす。地域によっては、唐辛子、パセリ、ミント、ニンニクなどで風味づける。
前菜のほか、第一皿、第二皿の材料としても使う。


【Primi Piatti/第一皿】

Ciceri e tria
チチェリ・エ・トリア
ヒヨコマメをニンニク、トマト、ローリエ、パセリ、セロリ、葉タマネギ、ジャガイモとともに茹でる。幅1.5cmのタリャテッレをヒヨコマメの煮汁で半量茹でて、残りは揚げる。ヒヨコマメとパスタをエクストラヴァージン・オリーブオイルと唐辛子で和える。
サレント南部のシンボル的伝統料理。
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Orecchiette alla ricotta forte
リコッタ・フォルテのオレッキエッテ
耳たぶ型のショートパスタ・オレッキエッテを、タマネギ、バジリコ、羊のリコッタ・フォルテを加えたトマトソースで和える。

Orecchiette alla rucola
ルーコラのオレッキエッテ
ルーコラとオレッキエッテを一緒に茹で、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子、ミニトマト、オリーブと和える。

Orecchiette con cacioricotta
カーチョリコッタのオレッキエッテ
トマトソースで和えたオレッキエッテに、カーチョリコッタ(ヤギのチーズ)をたっぷり削る。

Orecchiette con le brasciole
ブラショーレのオレッキエッテ
ブラショーレ(仔牛のインヴォルティーノのトマト煮込み)と和えて、ペコリーノを削る。
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Orecchiette con le cime di rapa
チーマ・ディ・ラーパのオレッキエッテ
アンチョビーとエクストラヴァージン・オリーブオイルのソースをベースに、チーマ・ディ・ラーパ(菜の花に似た野菜)を和えたレシピは、州料理の代名詞的存在。
ブロッコリーに代えるレシピもベースは同じ。
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Purè di fave e cicoria
ソラマメのピューレとチコリ
プーリャ州とバジリカータ州の代表的料理のひとつ。ソラマメのピューレに茹でたチコリを添えたもの。季節や土地柄によってCatalognaやFogghieなどの野草に代えられる。
ンカプリアータNcapriataなど地元ではより多くの呼び名がある。
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Risotto Mar Piccolo
リゾット・マーレ・ピッコロ
ターラントの内海の名を冠した、ムール貝のリゾット。
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Sagne ‘ncannulate
サーニェ・ンカンヌラーテ
粗びきの硬質小麦粉の手打ちパスタ。らせんに巻いた筒状のタリャテッレ。
トマトソースまたはミートソースで和える。

Tiella di riso, patate e cozze
米とジャガイモとムール貝のティエッラ
バーリ風ティエッラは、ジャガイモとタマネギのスライス、ムール貝、米、フレッシュトマト、ペコリーノチーズを何層にも重ねてオーブンで焼く。ニンニク、パセリ、エクストラヴァージン・オリーブオイル、ムール貝の煮汁で味付ける。
ターラント風はズッキーニの薄い輪切りを加える。
ティエッラとは、オーブン皿Tegliaのプーリャ方言。
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【Secondi Piatti/第二皿】

Alici ‘Arracanate’
イワシのアッラカナーテ
アッラカナート(単)とは、材料を何層にも積み重ね、パン粉とオレガノを含む香草とともにオーブンで焼く調理法。
ここではおろしたイワシとパン粉、オレガノ、ニンニク、ミント、ケーパー、オリーブオイルをつかう。

Brasciole alla barese
バーリ風ブラショーレ
プロシュット、パセリ、ペコリーノを薄くたたきのばした仔牛肉で巻き、トマトとハーブで煮込んだもの。インヴォルティーノの一種。
オレッキエッテと合わせるレシピも定番。
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Orata alla pugliese
鯛のプーリャ風
ジャガイモのスライス、ニンニク、パセリ、削ったペコリーノチーズ、オリーブオイルとともにオーブンで焼く。

Orata alla San Nicola
鯛のサン・ニコーラ風
鯛をオリーブオイル、様々な香草、レモンでマリネして、炭火焼きする。バーリの名物料理。サン・ニコーラはバーリの守護聖人。

Ostriche alla tarantina
牡蠣のターラント風
片方の殻を外し、パン粉、パセリ、オリーブオイルをまぶしてオーブンで10分程度焼く。
イタリアの牡蠣の伝統的な産地は、ラ・スペツィア湾、ターラント湾、ヴェネツィアの潟をはじめとするアドリア海北中部だが、なかでもターラント産は最高級とされる。
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Pignata di cavallo
馬肉のピニャータ煮込み
馬肉の塊を、ニンニク、タマネギ、香草を束ねたブーケガルニ、トマト、唐辛子、粒コショウとともにじっくり煮込み、一口大に切り分けて煮汁とともに盛りつける。
サレント料理。Carne di cavallo alla pignataとも。

Pitta di Patate
ジャガイモのピッタ
タマネギ、トマト、オリーブ、ケーパー、アンチョビーを混ぜた具材をオーブン皿に敷き、ジャガイモ、オリーブオイル、塩を練った生地をかぶせてオーブンで焼く。
ピッタとはピッツァの方言だが、ナポリ風ピッツァのことではなく、生地を薪釜で焼く原義のこと。
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Polpo alla pignata
タコのピニャータ風
一口大に切ったタコを、タマネギ、トマト、パセリとともに南イタリア伝統の陶器・ピニャータで煮込んだもの。
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Salsiccia leccese
レッチェ産サルシッチャ
仔牛肉と豚肉の合挽きに、削ったレモンの皮、シナモン、クローヴを混ぜ合わせたソーセージ。
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【Contorni/付け合わせ】

Lampascioni alla caprara
ヤギ飼い風ランパッショーニ
茹でたランパッショーニ(小タマネギの一種)に小麦粉をまぶして炒め、溶き卵と削ったペコリーノを加えて仕上げる。ムルジャ地方の名物。

Tiella di cardoncelli
カルドンチェッリ茸のオーブン焼き
茸とジャガイモ、タマネギを、パセリ、削ったペコリーノ、塩、コショウとともにオーブン皿に積み重ね、最後にパン粉とオリーブオイルをかけて焼く。


【Formaggi/チーズ】

Burrata di Andria
アンドリア産ブッラータ
牛乳製のフレッシュチーズ。モッツァレッラと同様のパスタ・フィラータ製法だが、軟らかいチーズと乳清(ホエイ)のクリームを、弾力のあるチーズで袋状に包む。
つくったその日のうちが美味とされる。

Canestrato pugliese DOP
カネストラート・プリエーゼ
羊乳製のセミハードチーズ。10ヶ月まで熟成。フォッジャ県産。主に削り下ろして使う。

Ricotta forte
リコッタ・フォルテ
プーリャ産リコッタ。原料の乳は様々。香りは強く、ほろ苦さと辛味が特徴。特にブリンディジ産は良質とされる。


【Dolci/ドルチェ】

Cartellate
カルテッラーテ
クリスマスシーズンから復活祭までの冬の伝統菓子。プーリャ州、バジリカータ州、カラーブリア州。
小麦粉、オリーブオイル、白ワインを練った生地を薄くのばして切り、花冠の形に巻いて一日おく。揚げたのち、火にかけたヴィンコット(プーリャ州名産の煮詰めたブドウの搾り汁)にかるく浸す。仕上げにシナモン、すりつぶしたクローヴなどを振りかける。
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Pasticciotto
パスティッチョット
中にクリームを詰めた楕円形のタルト。サレント地方の名物菓子。
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Sporcamuso
スポルカムーゾ
レッチェの伝統菓子。折パイ生地に熱々のクリームを詰めたもの。
名前の由来は、たっぷりかけた粉砂糖を顔に吹きつけて「顔を汚す」。
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Spumone leccese
レッチェ風スプモーネ
数種類のフレーバーのジェラートを層に重ね、ムースとともに半球体のカップの中で固めたもの。
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