フェデリカとノンナ

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煮ているあいだ、私たちは庭の菜園に出た。
たくさんのハーブや野菜、果樹が植えられている。
ローズマリー、サルヴィア、ミント、バジリコ、ビート、アプリコット、リンゴ、レモン、オレンジ…。トスカーナ方言でポポーネと呼ばれるメロンもある。トマトは黄色い花をつけていた。実が大きくなっていたオリーブは、秋にオイルにするのだという。

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かつては食用に鴨やウサギを飼っていたそうだ。
ラベンダーは乾燥させて袋に入れ、防虫剤として洋服ダンスに入れる。
庭は飾りではない。四季とともに暮らしを支える糧なのだ。

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家に戻ると、昼食をともにする親族たちがお腹をすかせて集まっていた。
ローラおばあちゃんの娘・ティツィアーナおばさんと夫のアンドレアさんは昼休みで仕事から戻ってきた。もう一人の娘・グローリアさん(フェデリカの母)は不在だったが、夫のシルヴァーノさんがサイクリングの途中で挨拶に寄ってくれた。
フェデリカの姉のサーラ、フィレンツェでの同居人のミケーラも食卓についた。

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やっぱりイタリア家庭料理は、みんなで食べるのが一番美味しい!
食卓ではローラおばあちゃんがたくさん話をしてくれた。

フィレンツェ生まれのローラおばあちゃんは、24歳で結婚してプラートに移住した。1991年に年金生活に入るまで糸巻きの内職をしていたそうだ。
1994年に他界した夫のヴァレリオさんは、自治体警察(Vigile)の警官だった。よく狩猟に出かけ、ジビエを料理していたという。
今日の料理は夫の母から覚えたレシピだが、姑とは不仲だったといい、それ以上は語らなかった。

パスタと白インゲン豆のスープは、冬によくつくっていたという。毎週金曜にとにかく大量につくる。翌日はもっと美味しいし、白インゲン豆が余ればトマトソース煮込みにしていた。親族が集まる週末の料理なのだ。

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アンドレアさんは話を聴きながら、赤ワインを水でのばして飲んでいる。イタリア全国でみられる昼食時の習慣だが、午後も仕事があるので酔っぱらわないためだ。それでも料理の話題には饒舌になる。

「白インゲン豆だけでも美味いが、とにかく豚肉とよく合うんだ!」とアンドレアさんは力説する。サルシッチャのほか、ばら肉(Costoline di maiale)とも相性は抜群だという。
「魚なら白身魚のボイルがいい。その場合ローズマリーは使わない」
「リヴォルノ風干鱈Baccalà alla livorneseとの組み合わせは格別さ!」
彼は得意顔でウィンクした。

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