コロンナータ産ラルドIGP

トスカーナ州北部、カッラーラ。

ヴィアレッジョから続くヴェルジリア(Versilia)の海岸線に、アプアーネ・アルプス(Alpi apuane)の山々が迫る。リグーリア州にまたがるこの山間部はルニジャーナ地方(Lunigiana)と呼ばれ、数多く点在する古城や伝統的な食文化で知られるところだ。

カッラーラの町からアプアーネ・アルプスを見上げると、一年を通して真っ白な尾根の山々がそびえる。雪山にみえるが、実はこれがすべて大理石の色なのだ。

カッラーラは古代ローマ時代からの大理石の産地であり、中世ルネッサンスの巨匠・ミケランジェロもここで自ら大理石を選び、彫刻の傑作を生みだした。

現在でもカッラーラには彫刻を学ぶ学生が世界中から集まる。ここから作品を発表する日本人たちの存在も地元では有名だ。

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Colonnata

その大理石の採石場のひとつ、コロンナータの集落を訪れた。
しかし目的は大理石ではない。

ここは豚肉の背脂を熟成させたラルドの生産地でもあり、大理石の容器でつくられるコロンナータ産ラルドはイタリアでも最高級品だとされている。
そのスライスをパンにはさむだけで、口にした者は言葉を失う恍惚を味わうことになる。

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友人であるピエロ・マンチーニ氏の紹介を受けて訪ねたのは、ラルド職人のファウスト・グアダンニ氏 (Fausto Guadagni)。
コロンナータでラルデリア(ラルド製造所)を営む両親のあいだに生まれ、59歳になる現在でもラルドづくりに人生をかける、生粋のコロンナータ人だ。